丁寧なのに失礼な発言に!?あなたは失言していませんか?相対敬語をしっかりきっちり使いこなそう!
みなさんこんにちは!やさかんです。
突然ですが、「相対敬語」って言葉、ご存じですか?
日本語では、自分や相手、会話に登場する人物などの、
それぞれの立場によって敬語表現を使い分ける必要があります。
相対敬語の概念が理解できていないと、
ひたすら言葉を丁寧にしようとした結果、
かえって話し相手に対して失礼な表現になってしまった・・・
なんてことになりかねません。
今回は、お仕事の中で日本語を使う人であれば、
知っていて損はない内容かと思いますので、
ぜひ相対敬語に興味を持つきっかけになればと思います。
そもそも敬語って?
まず敬語についてですが、
会話の相手や登場人物などに対し、
自分からの敬意を表すための表現方法のひとつです。
敬語の中で大きく分けた以下の3種類は、
学校で聞いた覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
★尊敬語・・・相手を持ち上げる表現
★謙譲語・・・自分を控えめにすることで間接的に相手を持ち上げる表現
★丁寧語・・・立場に関係なく相手への敬意を示す表現
敬語を勉強して日頃から意識していない人でも、
丁寧に話す場面では無意識にこの3つの敬語を
ある程度使い分けていることでしょう。
プライベートの日常会話では、
それでもさほど問題はありません。
ですが、ビジネスシーンでの会話、
とりわけ自分が属している組織外の人と会話するときには、
相対敬語を使った、一歩踏み込んだ意識が必要になります。
組織外の人、とは、会社員でいうと
自分の会社の取引先やお客様などの社外の人のことです。
それでは次に「一歩踏み込んだ意識」について見てみましょう。
相対敬語とはどんな概念?どんな場面で必要になる?
相対敬語について説明するために、
まずはどのような場面で必要になるかをお話しします。
それは、「会話の中に自分と会話相手以外の第三者が登場する場合」です。
例えば、あなたがとある会社、
株式会社やさかんの会社員Aだとしましょう。
ある日、株式会社やさかんの取引先である
カタブツ商事の係長Bさんから、
あなたの上司Sさんあてに電話がかかってきました。
以下はその時の会話です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あなた「お電話ありがとうございます。株式会社やさかんのAでございます」
Bさん「カタブツ商事のBと申します」
あなた「カタブツ商事のB様ですね。どのようなご用件でしょうか」
Bさん「御社との取引内容について確認したいことがあるのですが・・・S様はお手すきでしょうか」
あなた「少々お待ちください・・・申し訳ございません、Sは現在離席されています」
あなた「午後には戻られる予定ですが・・・B様に折り返し連絡していただくようお伝えいたしましょうか」
Bさん「そうなのですね・・承知いたしました」
Bさん「それでは、本日13時から17時までの間で、S様のご都合にあわせてご連絡いただきたい旨お伝えいただけますでしょうか」
あなた「承知いたしました」
Bさん「ありがとうございます。それでは、失礼いたします」
あなた「失礼いたします」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その日の午後、Bさんへ折り返し連絡したSさんは、
無事に取引内容についての会話を終えた後、
あなたの言葉遣いについて指摘を受けてしまいました。
Bさんにあなたの言葉の意味は通じており、
意思の疎通もしっかりとれています。
しかし、上記の会話には、
この場面にはふさわしくない敬語が使用されています。
さて、あなたのセリフの中にある
この場面にふさわしくない敬語、
いくつ見つけられましたか?
まずは、修正すべきセリフをまとめてピックアップしてみましょう。
◆1. Sは現在離席されています
◆2. 午後には戻られる
◆3. B様に折り返し連絡していただく
以上3点です。
この文章の何がよくなかったのでしょうか?
次に、それぞれの文章に含まれている
「行動を指す言葉」と「使われている敬語の種類」に注目してみましょう。
◆1. 離席されている(尊敬語)
◆2. 戻られる(尊敬語)
◆3. 連絡していただく(尊敬語)
すべて尊敬語ですね。
「おいおいやさかん、会話の相手は取引先なんだから尊敬語使うのは当たり前だろ!」
そうですね、これらの言葉が「取引先の人の行動」を指す言葉なら、
何の問題もありません。
それでは何が問題なのか。
今回の会話をもう一度ご覧ください。
この3つのセリフは、
それぞれあなたの上司Sさんの行動を指しています。
Sさんはあなたの上司なので、
あなたとSさんが2人で会話する場合でも、
Sさんの行動に尊敬語を使用して問題ないです。
ですが、今回の会話はあなたとBさんによるものです。
その会話の中の人物としてSさんが出てきます。
そして、この3人の中で、Bさんは外部の人間、
あなたとSさんは身内関係にあります。
つまり、あなたは外部の人間Bさんに対し、
身内関係Sさんの行動には、尊敬語ではなく、
謙譲語または丁寧語で表現する方が、
より好ましいとするのが敬語の考え方です。
また、場合によっては、敬語を使用しないほうが、
耳触りの良い言葉になることもあります。
では、上記3つの文章を修正してみます。
◆1. Sは現在離席しております
◆2. 午後には戻る予定ですが
◆3. B様に折り返しご連絡差し上げるよう
◆2は「午後には帰社する予定」と
言葉を変えてもいいかもしれません。
日本語って、敬語って難しいですね
しかしBさん、カタブツですね・・・
というひとことで済めばいいのですが、
相手によっては、あなたの会社が自社を軽視しているのではないか、
言葉遣いを指導する余裕もないほど忙しい
→余裕がないということはこのまま業績の維持が難しいのではないだろうか
今後も取引を続けて大丈夫だろうか・・検討しなおす必要があるかもしれない・・・
このように、あなたの言葉遣いひとつで、
あなたの会社に対して不安な印象を与えてしまう可能性もあります。
必ずしも、常に正しく言葉を使わなければ
大変なことになるというわけではありませんが、
しかし正しく言葉を使えるということは、
武器になることはあってもあなたの価値を下げることは
ほとんどありません。
言語というものは、生き物と言われています。
時代によって流行り廃りがありますし、
正しいか間違っているかが逆転する、
ということすらあります。
それでも、相手を慮る気持ちから紡がれる言語である、ということが、
数百年もの間変わらない日本語の本質だと、私は信じています。
いかがでしたか?
今回の記事は、何かを調べようとしたときの答えがある、
という内容ではありません。
敬語って本当に難しくって、人・時・場面などの要素から
パズルのように複雑な組み合わる必要があり、
特に声で会話するときにはそれを瞬時に行わなければいけません。
会話しながら言葉を調べる、ということはできないので、
どの場面でどの種類の敬語がふさわしいのか、
あらかじめある程度自分の知識として知っておく必要があります。
それは到底、一朝一夕で身に着けられるものではないので、
日常的に、少しずつ身に着けていくのがいいでしょう。
この記事を読んでくださったあなたが、
日々敬語を学んでいこうと思う一助となれば幸いです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
次回もまた、よろしくお願いします。